中谷宇吉郎「雪の科学館」を訪ねて
北陸・加賀温泉方面に旅した際、中谷宇吉郎「雪の科学館」を訪れた。
片山津温泉街の東、芝山湖畔に立つリゾートホテルには2度目の宿泊であった。湖の対岸に立つ科学館には前から訪ねたいと思っていた。その朝の駅への送迎バスを利用したのは私たち夫婦のみ。運転手氏と挨拶がてらに、駅から市内観光のCANBUSを利用して「雪の科学館」を訪ねる予定だと話したら、駅へ行くより近いからと科学館まで送り届けて頂いた。
六角形に枝を伸ばした雪の結晶には、馴染みの方も多いだろう。クリスマスが近づくと、保育園や幼稚園の窓ガラスにサンタさんと一緒に、この雪の結晶が吹き付けられている図もお馴染みである。
この雪の結晶を発見したのが中谷宇吉郎博士なのである。しかし雪の結晶は6角形だけでなく、棒状のものや砲弾型もあることを初めて知った。この雪の結晶を調べる過程で、人工雪の研究も行い、初めて成功したのも中谷博士である。
展示室から外を見ると、グリーンランド氷河のモレーンの石を引き詰めた中庭に人口霧が舞っている中庭がある。その先に芝山湖があり、晴れていれば白山も遠望出来ると案内に書いてあったが、その日は曇り。昨夜泊まったホテルが対岸に確認はできたが。
展示室の見学を終わり、中庭の先にある喫茶室で一休み。
中谷宇吉郎博士は北大(北海道大学)での研究生活が長く、十勝岳の山小屋にこもって天然雪の研究をされたことも有名なので、北海道の出身かと思っている人もいる。
彼はここ片山津温泉で1900(明治33)年に生まれ、金沢の四高、東大理学部物理学科を卒業、寺田寅彦博士の指導を受けられている。理化学研究所勤務のあと、ロンドンに留学、帰国して北大に赴任された。
【写真:喫茶室からグリーンランド氷河の原を挟んで見る雪の科学館本館】
見学を終わって預けておいたザックを取りに受付へ寄る。お土産にと池内了編「雪は天からの手紙」-中谷宇吉郎エッセイ集-(岩波少年文庫)も求めた。
帰りの電車の中で読み出したが、雪や霜に関するだけでなく、豊富な見識から科学一般についての魅力をやさしく紹介されているのにはまってしまった。
「雪は天からの手紙」を読み終わろうとしていたとき、7月9日付けの朝日新聞夕刊に「霧の芸術・科学に警鐘」との見出しで、中谷芙二子さんが霧を使った舞台を公演するとの記事が載った。芙二子さんは、霧を使って空間を演出する「霧の彫刻家」として有名だという。
片山津の「雪の科学館」の中庭「グリーンランド氷河の原」は、中谷芙二子さんが修景したと、同科学館の案内パンフレットに記されていた。彼女は宇吉郎博士のお嬢さんである。
(訪ねた日:2007年6月28日)


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